ミライアルコラム
第6回 PC樹脂の特徴と用途 【ミライアルの樹脂講座】
PC樹脂とは
PC(ポリカーボネート)樹脂は、分子構造内に炭酸エステル構造(-O-(C=O)-O-)を持つ、熱可塑性の非晶性樹脂です。ビスフェノールAを主原料として作られ、CD・DVDなどの光ディスク、カメラやスマートフォンなどの筐体、カーポートの屋根、高速道路のフェンスなどに使用されています。
(PC構造式)
PC樹脂の特徴
PC樹脂の特徴としては、透明性が高い、耐衝撃性に優れている、成形収縮率が小さく、成形品の寸法安定性に優れている、自己消火性がある点などが挙げられます。
対して欠点は、流動性が悪い(成形性が悪い)、耐薬品性が低い(アルカリ性を示すものや有機溶媒に弱い)、表面にキズなどが付きやすいなどが挙げられます。
PCはアロイ化(他の樹脂と混ぜることによって、双方の特性を補うような性質を持つ原料を作り出すこと)によって、用途展開も進んでおり、流動性改善のため、ABS樹脂とアロイ化したグレードや、耐薬品性向上のため、PET樹脂やPBT樹脂などの結晶性樹脂とアロイ化したグレードなども一般的です。
ミライアルでは
耐衝撃性が高い点を活かして、FOSBやFOUPの本体や蓋の主原料として使用しており、また、高透明性を活かして、不透明製品(FOUP)の窓部分として組み込んでいます。PCは一般的に溶かした際に流動性が悪く、成形しにくい原料とされています。成形性を良くするために、安易に樹脂温度を上げてしまいますと、樹脂の劣化に繋がり、品質に悪影響を与えますので、注意が必要となります。ミライアルでは、樹脂の劣化が起こらない条件を、化学的に分析して選定しており、成形性と品質が両立できるようにしていますので、複雑な形および、大型製品を成形する事ができます。